トピック 1

コンパニオン医療機器の申請計画は確実に

 

A製薬会社が、優れた新有効成分含有医薬品(新薬)の製造販売承認申請をしました。対象患者が極めて少ないことから、希少疾患に基づく優先審査の適応を受けることに成功しました。

一方、この新薬のレスポンダーとなる対象患者の選定には当該疾患に発現する特殊な抗原を認識する必要があるため、A社は抗原を検出する「コンパニオン医療機器」の開発も自社で同時に進めてきました。

優先審査指定を受けた新薬の取り扱いについて、規制当局からは「コンパニオン医療機器も新薬と同時承認となるよう準備を進めるように」と指示がありましたが、A社では臨床第Ⅱ相試験の途中から、コンパニオン医療機器の本格的な臨床応用を始めていたため抗原認識度に未だ改善の余地があり、優先審査が適応された新薬の申請から承認までの審査期間中に、コンパニオン医療機器の承認が得られる見通しを立てられませんでした。

これでは折角の優先審査指定を活かすことができません。

新薬と併せてコンパニオン医療機器の開発も進める場合、早い時期からコンパニオン医療機器の申請に必要な条件を精査して全体の臨床計画を綿密に立て、新薬と同時に承認されるようにしておかなければなりません。そのためには、新薬の承認申請に先んじてコンパニオン医療機器の承認申請が必要な局面もあります。特に、新薬とコンパニオン医療機器の開発が別々の会社で進められる場合は、両社の連携と協働の強化などに特別の注力が必要です。

 

東京新薬株式会社/TPCは薬事の専門家として、将来の新薬とコンパニオン医療機器の同時承認を視野に入れ、開発初期から承認申請・承認取得までの期間を御社と共に伴走いたします。

 

トピック 2

先駆け申請の落とし穴

「先駆け審査指定制度」は、平成26年6月に厚生労働省が取りまとめた「先駆けパッケージ戦略」の重点施策や「日本再興戦略 改定2014」を踏まえて導入された制度です。

この制度は、対象疾患の重篤性など一定の要件を満たす画期的な新薬などについて、開発の早期段階から対象品目に指定し、薬事承認に関する相談・審査で優先的な取り扱いをすることで、承認審査の期間を短縮することを目的としています。

通常の新医薬品及び新医療機器の場合、12カ月を目標に審査が行われますが、この制度では審査期間をこれまでの半分の6カ月に短縮することが目標となっています。さらに薬価 の新規収載に当たっては「先駆け審査指定制度加算」として状況に応じて「1020%」が補正加算されます。

 平成30年3月までに、医薬品6品目、医療機器2品目、再生医療等製品3品目が「先駆け審査制度」の対象品目として指定されました。

ベンチャーB社では、開発中の新薬で先駆け審査制度の申請を行い「指定」を得ることができました。社内の上層部は申請から承認までが通常の1/2に短縮されることで大喜び・・・・。

ところが、ここからこの新薬の担当者の苦渋の日々が始まったのです。

指定を受けた直後、規制当局から、1カ月を待たずに「資料を整備して提出すること」を求められたのです。試験が終了している「CMC」「非臨床試験」の順に、事前評価を申請し、照会事項の対応に追われる日々となりました。ところが臨床第Ⅱ相段階であったこともあり、提出した資料は必ずしも完全とは言えませんでした。不備な資料の修正に追われ照会事項回答に時間を費やし、やっと承認6カ月前の明かりが見えた時には、指定から実に6カ月の期間が過ぎていました。

また、B社は販売について導出を考えていましたが、指定・事前評価申請までに導出先が不確定であったことも、販売体制に対する当局の思考に少なからず影響があったと反省することになりました。

これでは通常の製造販売承認申請から承認に要する時間と変わらず、むしろ焦った分、担当者に多大な労力を負わせることになりました。

どうしてこのようなことになってしまったのでしょう。

医薬品の製造販売承認申請の資料が不完全な状態である場合、承認までに多大な時間と労力を要します。これは通常審査でも、優先審査でも、先駆け審査でも変わりません。ところがB社は「申請から承認までの時間が通常の1/2」の点だけに目を奪われ、肝心の資料の完全性を疎かにしたため、その修復にかえって多くの時間を要する結果になったのです。

製造販売承認申請の資料にはあくまでも完全なものが求められます。不完全な資料を慌てて提出しても、承認への道のりに余計な時間が掛かってしまいます。

さらに、承認後の体制、日本での適正使用の啓発や安全性情報の監視を含む販売体制についても事前評価申請段階には構想を固めておかなければなりません。

臨床開発の初期段階から薬事コンサルタントを加え、漏れなく的確な臨床開発を進めることが、やり直しを含む無駄を省くためにも賢明な策と言えます。

 

東京新薬株式会社/TPCは将来の承認申請を視野に入れ、御社の伴走者として臨床開発を成功に導きます。